北國新聞 2014年12月24日 掲載

原木シイタケの「のとてまり」、最高値更新 6枚、3万5千円 奥能登ブランド浸透

過去最高値となる1箱3万5千円で競り落とされた「のとてまり」のプレミアム規格品=金沢市中央卸売市場

奥能登産原木シイタケの特秀品「のとてまり」が20日、金沢市中央卸売市場で初競りに掛けられ、1箱(6枚)が3万5千円で競り落とされた。過去最高額だった昨年を1万2千円上回っており、4年目を迎えた奥能登ブランドの浸透に加え、北陸新幹線開業が近づいて需要が高まったためとみられる。生産者らは追い風を背景に金沢市内で展開するオリジナル料理の提供期間を延長し、一層の知名度向上を図る。

最高値が付いたのは、特に優れた形のものが認定される「プレミアム」の1箱で、金沢市の青果店が競り落とし、同市片町の天ぷら店で提供された。このほかの、のとてまり6箱(5~8枚入り)も、相場の約2倍となる1箱8千円以上で競り落とされた。

初競りでの最高額は年々上昇しており、11年は1箱1万5500円、12年は1万6千円、13年は2万3千円だった。奥能登2市2町の生産者や石川県などでつくる「奥能登原木しいたけ活性化協議会」は、今年は北陸新幹線開業に対する期待感で、観光客に提供しようとする料亭や、県外へ売り出す仲卸が増えたとみている。

料理提供期間を1カ月半に延長 金沢市の料亭など

奥能登原木しいたけ活性化協議会と石川県は、毎年2月に金沢市内のホテルや料亭の協力で提供している、のとてまりの創作料理の提供期間を1月末から3月15日ごろまでの約1カ月半に拡大する。

創作料理の提供は、「のとてまり」の知名度を高めるため、2012年度に始まった。来年は3月14日の新幹線開業で石川の注目度が高まることなどから、期間を拡大することにした。

ブランド化を加速させる一方で、今後は安定した出荷と収量の拡大が課題となる。

一定の基準を満たす「のとてまり」を増やすには生産農家や栽培面積の拡大が不可欠となる。協議会は、約100人の既存の生産者にパイプハウスの増設を呼び掛けるほか、設備費用の助成制度をPRして新規参入を増やしたい考えだ。

今年度は来年3月末までに、前年より約7千枚多い2万5千枚の「のと115」の出荷を見込んでおり、このうち約4割が「のとてまり」となる見通し。協議会の新五十八(しんいそはち)会長(64)は「初競りで大いに評価されたことは、生産者にとって励み。生産量を増やし、一層のブランド化に努めたい」と話した。

一つ前のページへ戻る