北國新聞 2014年07月17日 掲載

駅ナカに「城下町」 金沢百番街「あんと」 新幹線開業へ全面改装 物販、飲食通りに600人

愛くるしい動きで会場を沸かせるくまモン=19日午前11時40分、JR金沢駅

JR金沢駅構内の金沢百番街「あんと」は17日午前10時、開業した。来年3月の北陸新幹線金沢開業に向け、旧「おみやげ館」「あじわい館」を全面改装し、店名を一新。整然とした「通り」で構成した物販ゾーンの「東街」「西街」、格子と石畳の飲食ゾーン「あじわい小路」、梅鉢紋型の照明など、「城下町金沢」をイメージした新しい駅ナカ施設で、大勢の買い物客が「街歩き」を楽しんだ。

約6千平方メートルに、物販66、飲食9の75店と、郵便局、日本旅行、ATMコーナーが入居した。8月上旬にも、飲食3店が開業する。

開業前には、約300人が列をつくり、着物姿のスタッフの先導で、ゆっくりと館内に足を踏み入れた。来店者はすぐに約600人にふくれあがり、銘菓や伝統工芸品を買い求める人でにぎわった。

地酒バーや工芸展示

テナント全店が「オープン記念特典」を用意し、石川県内の全酒蔵が出品した地酒バー「金沢地酒蔵」、若手工芸作家14人の力作を並べたギャラリー「群青(あお)の広見」も注目を集めた。

地酒バーで大吟醸を味わった新野誠行(せいこう)さん(65)=金沢市長坂3丁目=は「気軽に試飲でき、地元住民でも足を運びたくなる」と話し、1泊2日で金沢観光に訪れた小島勇希さん(27)=埼玉県=は「駅ナカでこれだけのご当地品がまとめて買えるのは便利」と喜んだ。

オープンに先立ち、金沢駅のコンコースでは完成記念式典が行われ、太鼓の演奏、金沢三茶屋街の芸妓による舞が繰り広げられた。

「金沢百番街」を運営する金沢ターミナル開発(金沢市)の辻子義則社長が「日本全国、外国からの客をおもてなしする商業空間にしたい」、JR西日本の野中雅志金沢支社長が「新たな金沢の魅力を発信する拠点となる」とあいさつ。谷本正憲知事、山野之義金沢市長が祝辞を贈り、テープカットとくす玉割りで開業を祝った。ホテル日航金沢に会場を移し、パーティーも開かれた。

「あんと」は、ありがとうを意味する金沢の方言「あんやと」にちなんだ。営業時間は物販が午前8時半~午後7時、飲食が午前11時~午後10時。

金沢駅構内では来月、コンコースの改装、ファッションゾーン「リント」の増床に着手し、工事が本格化する。

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