北國新聞 2015年01月03日 掲載

ニューヨークの三つ星店で修業 若手料理人が「和食の金沢」アピール 金沢芽生会、24日から4人を派遣

髙木さん(右)のもとで修業を積む茨さん(左から2人目)=金沢市内

金沢の料亭に勤める料理人たちが今月、米ニューヨークの三つ星レストランで修業する。世界一のレストラン激戦区で厨房(ちゅうぼう)に立ち、トップレベルの調理技術や食材の管理、接客の心遣いなどを学ぶ。金沢の料亭・日本料理店の若主人でつくる「金沢芽生会(めばえかい)」が全国で初めて企画した研修事業で、和食の本場・金沢の存在感を海外にアピールする。

料理人派遣は、金沢芽生会の設立60周年記念事業となり、つば甚、浅田屋、銭屋から若手を中心とする4人の料理人が24日から6日間の日程でニューヨークに滞在する。地元シェフと行動をともにし、店の運営体制も学ぶ。

研修先は料理店格付けのミシュランガイドで三つ星を獲得している「ダニエル」や「ジャン・ジョルジュ」のほか、「グラマシー・タバーン」「ブーレー」などマンハッタンの有名フレンチレストランとなる。

金沢芽生会は2009年に石川県の委託を受けて、ニューヨークの三つ星レストランシェフの研修を受け入れたことがある。交換プログラムとして、金沢から料理人を派遣する予定だったが、実現しないままとなっていた。北陸新幹線金沢開業後は、各料亭とも多忙を極めると予想されることから、1月中に実施することにした。

人材集結に期待

料亭、日本料理店の若主人が集まる芽生会は全国各地にあるが、海外研修の事例はない。浅田屋の浅田久太社長は「日本料理界をリードする地として、金沢の認知度が上がれば、次世代の有望な人材が金沢に集まる」と期待する。

ニューヨーク研修が決まった1人で、銭屋入社5年目の茨(いばら)信彦さん(28)=和歌山県出身=は「世界中から人種も国籍も違う人々が集まる大都市で、どんな料理を出しているか見てきたい。海外客を迎える上で勉強になる」と話した。

街の価値上げる

世界のトップシェフやオーナーがレストランを構えるニューヨークは、食の流行発信拠点となっており、料理人を派遣することで、日本の地方都市・金沢への注目を高める目的がある。金沢芽生会の髙木慎一朗会長は「和食を学ぶなら金沢だという認識が広がれば、世界のトップシェフが修業に訪れるようになる。美食の街・金沢の価値を上げたい」と話した。

一つ前のページへ戻る