北國新聞 2014年11月02日 掲載

ホテル日航金沢の前田、山本シェフが料理W杯に出場 治部煮、唐蒸しを洋風に 輪島塗×加賀友禅×水引で「石川」を演出

料理W杯に向けて意欲を高める前田シェフ(左)と山本シェフ=金沢市のホテル日航金沢

22日、ルクセンブルクで開幕する五大国際料理大会の一つ「料理ワールドカップ2014」に、金沢市のホテル日航金沢の副総料理長兼西洋料理長、前田伸也さん(44)と、和食シェフの山本耕三さん(49)が出場する。石川の伝統料理である治部煮(じぶに)や鯛(たい)の唐蒸しを西洋風にアレンジした新趣向の料理を提案する。輪島塗など県内の工芸品を取り入れたテーブルコーディネートも披露し、石川の食文化の奥深さを世界に発信する。

料理W杯は、世界司厨士(しちゅうし)協会(WACS)が公認する大型コンクールの一つで、4年に1度ルクセンブルクで開催される。前回の2010年には世界54カ国からシェフ2400人が出場し、観客約4万4500人が来場した。出場するには、WACS加盟国であるなどの条件がある。

前田さんによると、W杯に向けて数年掛けて準備したり、代表チームのために専用のキッチン設備を搭載した車を持ち込んだりと、国を挙げて取り組むケースが多い。今大会では「伝統料理に革新的なアレンジをすること」が条件で、12年の世界料理オリンピック・ドイツ大会で銀メダルを獲得した前田さんが、自身の経験を基にアレンジした。

煮物である治部煮は鴨肉(かもにく)のローストを中心とした肉料理に、鯛の唐蒸しは、そうめんを詰めたネギなどを並べてロール状にアレンジし、華やかさを演出した。能登和牛と沢野ゴボウの八幡巻き、能登地鶏を使った照り焼き風の焼き鳥など8品を披露する。食材は全て、石川から持ち込む。

盛りつけの器には、輪島商工会議所の紹介で輪島塗10点を借り受けた。料理の展示には加賀友禅のタペストリーや水引細工もあしらい、石川の魅力を表現する。

山本さんは「海外で石川の伝統料理をいかに分かりやすく伝えられるかに注力した」と話し、前田さんは「海外では漆器への関心も高いと聞く。料理を盛り合わせた漆器の魅力もぜひ知ってもらいたい」と意気込んだ。

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