北國新聞 2014年10月24日 掲載

哲学の絆、交流末永く 金沢市の鈴木大拙館とロンドン仏教協会が協定 市役所で締結式 欧州での足跡調査へ

協定の締結式に出席した(左から)岡本名誉館長、木村館長、ビドルフ会長、ビドルフ夫人、佐藤氏=金沢市役所

鈴木大拙館は23日、ロンドン仏教協会と交流協定を締結した。金沢出身の世界的仏教哲学者鈴木大拙が、同協会創設者のクリスマス・ハンフレイズ氏と親交があったことから実現した。市役所で行われた締結式には両団体の代表者が出席し、今後、大拙が欧州に残した資料の調査に取り組み、先人の思いを末永く受け継ぐことを誓った。

木村宣彰館長と協会のデズモンド・ビドルフ会長が協定書に署名し、山野之義市長が立会人を務めた。ビドルフ会長のダーシイ夫人と、協会理事で大拙に師事した佐藤平(たいら)さん=ロンドン在住=、岡村美穂子名誉館長らが出席した。

ビドルフ会長は1936(昭和11)年、ロンドンで開催された世界宗教信仰大会での大拙のスピーチを紹介し、「大拙の信条が、これから幾世代にもわたって人々の心に受け継がれてほしい」とあいさつ。木村館長は「協定は未来への第一歩。先人によってまかれた種が立派な実を結ぶよう願う」と述べた。

ロンドン仏教協会は1924年、ハンフレイズ氏が設立し、36年の世界宗教信仰大会でハンフレイズ氏が大拙に声を掛けたことを機に2人の交友が始まった。同会には、大拙が投稿していた英国雑誌など、大拙に関する戦前の資料が残されている。大拙館は同会と共同で調査を進め、調査結果は館内での展示を目指す。

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